公認心理師

公認心理師も更新制に?~認定専門公認心理師とは?~

みなさんこんにちは、toshiです。

今回は、先日、日本公認心理師協会より発表された公認心理師の生涯学習制度について解説していこうと思っています。

これから公認心理師を目指している方、すでにとっている方にも重要なトピックだと思いますので、ぜひ確認してください。

 

公認心理師の生涯学習制度

公認心理師は、公認心理師法第43条の規定により、「国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、公認心理師の業務に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」とされています。

それを受けて日本公認心理師協会は今年度、2021年度より専門認定制度というものを開始しています。

専門認定制度とは

専門認定制度とは、日本公認心理師協会が協会の正会員を対象に5年ごとの更新制で行われる。認定制度のことです。

認定制度には2種類あり、それぞれ条件が異なります。

認定専門公認心理師

認定専門公認心理師は、

臨床実務に関する基本的素養を身に付け、分野横断的な視点を有し、広く国民の心の健康の保持増進に貢献できる専門性を有した者として認定するものです。

日本公認心理師協会HPより引用

とされています。その条件として

①導入研修

②専門研修Ⅰ

③テーマ別研修

④専門研修Ⅱ

⑤5年以上の臨床実務経験

これら①~⑤までの条件がそろって初めて認定を受けることができます。これらは認定後、5年毎に単位取得をしていかなければいけません。

では、一つずつ解説していきます。

①導入研修

公認心理師に関する基本知識や生涯研修のあり方などを理解するための研修で、当面は日本公認心理師協会が作成したテキストを用いて自己学習になるとのことです。

②専門研修Ⅰ

実務を行う基盤となる知識と技術の習得をするための研修

③テーマ別研修

分野別(保険医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)、課題別のテーマ(発達障害、災害、自殺、ひきこもり、アディクションなど)に関して学修を深めるための研修で、20単位の取得が必要となります。

更新時には25単位の取得が必要

④専門研修Ⅱ

より応用的、実践的な力を習得するための研修

注意点

・研修のうち、①②④は日本公認心理師協会および都道府県公認心理師協会が主催する予定

・③の研修については、日本公認心理師協会が主催するもののほかに協会が認定した学会や研修会の受講での単位取得が認められる

・更新時には③のテーマ別研修25単位必要となる

・本来、公認心理師資格の登録後5年以上の経験が必要だが、「経過措置」によりすでに5年以上の経験を持つ者については研修の受講が可能

かならず、日本公認心理師協会主催の研修を受講しなければならないわけではなさそうです。ご自身が所属されている各都道府県の公認心理師協会でも同様の研修が開かれる可能性もあるので確認してみましょう。

少なくとも現役で5年以上の臨床経験がある先生方で公認心理師資格を登録している方で専門認定をとりたいのであれば、日本公認心理師協会に入会する必要があるでしょう。

 

では、認定専門公認心理師の上位資格である、認定専門指導公認心理師についてみていきましょう。

 

 

認定専門指導公認心理師

認定専門指導公認心理師とは、

認定専門指導公認心理師とは、分野横断的な臨床実務に関する素養を基盤とし、専門分野の臨床実務に精通し、国民の心の健康の保持増進に広く働きかけができる質の高い心理専門職であることを認定するものです。心の健康に関わる専門職の人材育成、指導に貢献する者として認定します。

日本公認心理師協会HPより引用

 

教育や医療などさまざまな分野での経験をもとに専門分野の臨床実務に精通している人材で後進の育成、指導者としての能力を有している人ということですね。

では、認定専門指導公認心理師の認定のための条件を見ていきましょう。

①エキスパート研修

②テーマ別研修(25単位)

③プロフェッショナルポートフォリオの提出

④10年以上の臨床実務経験が必要

⑤認定専門公認心理師取得後、5年以上の実務経験が必要

③はちょっとややこしそうですね。では、一つずつ見てみましょう。

 

①エキスパート研修

各分野でのエキスパートとして複雑な事例への対応を行う力、実習生や若手の専門家の指導に関する諸課題への指導ができる力、プロフェッショナルポートフォリオの作成に取り組み、自己研鑽の計画を策定する力を養成する研修とのこと。

困難事例などの実務能力に加えて指導する力も求められます。また、プロフェッショナルポートフォリオの作成の仕方についても学びます。

 

②テーマ別研修(25単位)

分野別、課題別のテーマに関して学修を深めるための研修のこと。

③プロフェッショナルポートフォリオの提出

プロフェッショナルポートフォリオとは

プロフェッショナルポートフォリオとは、公認心理師としての自身の職務経歴や、研修・トレーニングに関する経歴をまとめたもののことです。そこには、スーパーヴィジョンや事例検討などを受けた経験も含まれます。

④10年以上の臨床実務経験が必要

認定専門指導公認心理師をとるには、10年以上の臨床実務経験が必要となります。

⑤認定専門公認心理師取得後、5年以上の実務経験が必要

認定専門公認心理師を取得した後、5年以上の実務経験を経ていないと認定専門指導公認心理師は取れません。

ただし、「経過措置」が適用される方、つまり、認定専門公認心理師を取得した上で10年以上の臨床実務経験がある方は、認定から5年の実務経験を待たずに認定専門指導公認心理師の審査を受けることが可能です。

 

まとめ

今回は、2021年度から開始される公認心理師資格の上位資格、「認定専門公認心理師」と「認定専門指導公認心理師」を取り上げました。

・認定を受けるには、公認心理師資格の登録、日本公認心理師協会への入会が必須

・「認定専門公認心理師」は5年以上、「認定専門指導公認心理師」は10年以上の実務経験が必要

・研修を受講しなければならない

・5年毎の更新制

・現在は「経過措置」が適用される

 

公認心理師のみを持っている方にとっては専門性を高めるものとして活用できますし、専門性を担保することにもつながります。

一方、臨床心理士を取得している方にとってはどう差別化していくのか、そもそも両方保持し続けるべきなのか、臨床心理士のポイントに必要な研修と公認心理師の専門認定に必要な研修が別々であれば、これまで以上にランニングコストがかかってきます。時間的側面、金銭的側面などいろいろな面で負担が増えていきます。

申請については、資格のバリューアップという意味では価値があるかもしれませんが、実務としてどれほどクライエントの方々に還元できるかということを考えてからでもいいかと思います。

どちらにしてもこのようなスキルアップの機会が与えられるようになったことは専門職としてはありがたいことだなと感じています。

 

では、参考にしていただければ幸いです。

失礼します。

※ちなみに私は日本公認心理師協会には所属しておりません。

日本公認心理師協会HPリンク

第1回日本公認心理師学会学術集会 HP

ABOUT ME
toshi
精神科病院で臨床心理士として勤務しております。経済的自由を目指して日々、臨床に心がけていること、節約、投資、副業、ライフイベントなどについて投稿しています。よろしくお願いします。