マイクロ法人とは?
マイクロ法人とは、社会保険料の削減を目的とした法人のことで多くの場合、1人社長の会社です。
日本で初めに言及したのは橘玲さんと言われています。「貧乏はお金持ち」という著書で詳細に書かれています。
基本的にオススメされているのは個人事業主(フリーランス)の方です。会社員との相性は悪いと言われています。相性が悪いというか、一番のメリットが享受できないと言えます。
マイクロ法人の作り方
マイクロ法人を作るには、税理士や司法書士に依頼するか自分でするかの二択となります。
依頼する場合は当然依頼料が発生するのでお金の負担をする必要があります。自分でする場合はお金は最低限で済みますが、もちろん作業が大変なところがあります。時間がない、手間を取りたくない場合は、お金をかけて依頼するというのも選択肢だと思います。
私は自分で設立しました。多少大変なことはありましたが、自分でできて経験になったのと思っていたほど難しく感じなかったので、興味ある方はぜひ自分で設立してみてもいいのではないかと思います。
自分で設立する場合、会社設立サービスを利用するのが一般的です。私が利用したのは、マネーフォワードの会社設立サービスでした。
https://biz.moneyforward.com/establish/
まずはマネーフォワードIDを作って登録します。
会社設立をする場合、株式会社と合同会社を選びます。基本的に合同会社の方が設立コストも維持コストも安いため、マイクロ法人を目的とした場合は合同会社を選ぶのがいいでしょう。以下の解説も合同会社を設立する前提で書いていきます。
会社名と所在地を決める
会社の名前を決めます。これは好きに決められます。自由に決めましょう。
次に所在地ですが、持ち家であれば自宅にする方が多いです。私はそうしました。ただ、賃貸である場合は勝手にはできませんから大家さんに確認をとりましょう。それがめんどくさい、または断られた場合は、バーチャルオフィスを選択してもいいと思います。バーチャルオフィスは月2000〜3000円程度で借りられるので実際に法人用に賃貸を借りるより圧倒的にコストを抑えることができます。また、ご実家にするという手もあります。
代表と出資金を決める
次は代表者を決めましょう。これはほとんどの場合、設立する人、ご自分だけでしょうからそれほど悩むことはありません。場合によっては配偶者にも役員として入ってもらうこともあるかもしれません。その場合は、名前、住所、生年月日などを追加で入力しましょう。
次に出資金を決めましょう。手続き上、出資金1円であったとしても設立は可能です。しかし、実際はその金額で法人を運営するというのはできませんから、最低でも10〜30万円ぐらいは出資金として用意しておいた方がいいと思います。のちの銀行口座開設のためにもそのぐらいはあった方がいいでしょう。私の場合は投資資金とする必要があったので300万円を出資しています。
事業目的を決める
事業目的とは、その法人が何をおこなって儲けを得るのかということを定めます。個人事業であれば開業届に書いてあること以外でもある程度他のことをしても問題ありませんが、法人の場合は定款と呼ばれる法人のルールブックのようなものに書かれた事業目的以外のことはできません。後からしようと思ったら変更登記を行わないといけないため、余分に出費がかかります。そのため、法人を設立してすぐに行わない事業であっても今後する可能性が高い事業は加えておきましょう。
私は資産管理をメインとしたかったので「有価証券の売買および保有」「前号に付帯又は関連する一切の事業」を事業目的としました。
資本金と決算月を決める
資本金は法人の運転資金となります。出資されたお金の中からどのぐらいの割合を資本金とするかを決めましょう。基本的には出資金すべてを資本金とするので問題ないと思います。注意が必要なのは1000万円を超えるような高額な場合です。というのも資本金が1000万円を超えた場合、消費税課税業者にならなければいけません。決算等の手続きがより大変になるため、1000万円にならないように999万円とかにしましょう。また、設立時の登記の料金は資本金の大きさによって決まります。細かいことを言えば、857万円以内にすることで設立費用を抑えつつ、資本金を最大化することができるので資本金を大きくしたい人はそのぐらいまでを目安としましょう。
次に決算月ですが、3月決算はやめておきましょう。3月は日本の会社のほとんどが決算月にしていて税務署や税理士は大変忙しいです。そんな時期にしてしまうと税理士に決算書作成をお願いしても忙しくて断られるかもしれません。5月〜9月あたりにすることをオススメします。
法人用の印鑑を準備
法人用の印鑑を用意しましょう。この時点ではまだ法人は設立されていませんが、設立時には印鑑が必要になります。大体はインターネットで5000円程度までで揃うので買っておきましょう。実印、銀行印、角印の3つセットを用意しましょう。
行政書士に定款の作成依頼
定款は紙媒体と電子媒体の2種類がありますが、紙媒体となるとそれだけで印紙代が40000円発生してしまいます。コスト削減を考えると電子媒体一択になります。定款の作成は行政書士に依頼する必要があります。5000円支払って依頼するか、マネーフォワードに加入する(課金する)ことで無料で依頼することができます。設立後も会計ソフトをマネーフォワードで考えているのであればお得ですね。私はそうしました。
また、電子定款を保存するのにCD-Rを利用するので、空のCD-Rも購入しておきましょう。
出資金の入金
この時点ではまだ法人の銀行口座はありませんので自分の銀行口座から自分の銀行口座へ出資金を移動させる必要があります。きちんとお金があると証明する必要があるのです。
私は使っていない銀行口座に出資金を振り込みました。その入金がわかるように通帳のコピーもとっておきましょう。
設立用の書類を揃える
法人ではなく、自分の印鑑証明書をとりましょう。実印を印鑑登録していない人はまずは自分の実印を作成し、役所に行って印鑑登録をしてください。マイナンバーカードがあればコンビニでも印鑑証明書は取れるのでぜひ活用しましょう。
登記申請を行う
設立する法人の所在地を管轄している法務局に行き、設立登記を行いましょう。マネーフォワードのページから設立書類を印刷し、書類のとじ方を参考にして書類を用意します。
用意した登記書類、定款が入ったCD-R、印鑑証明書、現金(登録免許税分)、会社印、代表社員の実印、代表社員以外の社員の印鑑を用意していざ、設立登記です。郵送も可能ですが、私は窓口で申請しました。
特に何もなければ数日で登記は完了します。定款のデータ形式がうまくいかず、私はCD-Rを提出し直していますが、それでも10日もかからず設立できました。
設立できたら、証明書を取得しましょう。銀行口座を作るにしても証券口座を作るにしても印鑑証明書や登記事項証明書は必要になってきます。3通ずつはもらっておきましょう。
メリット
一番のメリットは社会保険料を削減できることです。フリーランスの場合、国民年金と国民健康保険に入ることになります。国民年金は16940円と金額は固定されていますが、国民健康保険は前年の所得に応じて料金が変わります。これがかなり高額ですし、健康保険であれば扶養という制度がありますが、国民健康保険はないため、扶養親族(配偶者や子供など)がいるほど負担する保険料も上がります。そのため、マイクロ法人で社会保険に加入することで年金は厚生年金、健康保険は扶養制度を利用しながら最安料金で固定することができます。
所得の分散ができる。個人事業の所得は事業所得ですが、マイクロ法人から受け取る役員報酬は給与所得となります。給与収入は年間55万円までは無税ですから、その金額内に抑えることで55万円は無税で所得を得ることができます。年収400万円とすると、事業収入400万円の場合と事業収入345万円と給与収入55万円の二つに分けることができるのです。それぞれの所得で控除を受けられるわけですから節税にも繋がります。
節税の幅が格段に広がります。個人事業主だけの節税では限界がありますが、マイクロ法人も活用することで交際費や旅費交通費、家賃など意味ある節税の幅が広がります。
デメリット
一番のデメリットはめんどくさいに尽きると思います。何より二つの仕訳、確定申告をしなければいけないわけですから、負担は倍以上になります。会社の会計は個人より厳しいですし、難しいのでここを天秤にかけても利用する価値があると感じなければマイクロ法人の設立はやめた方がいいでしょう。
運用方法
私は主に米国株ETFからの分配金を売り上げとしています。資産管理業という形で運用しており、一般的な事業会社としてはやっていません。資本金、資本剰余金を活用して米国株ETF、J-REITのETFを購入しています。それらが定期的に生み出す分配金を原資として役員報酬、社会保険料を支払い、ほとんど利益が残らないようにして最低限の税金を支払い、残った利益を使って再投資をしています。